家「非実在青少年話。なんかまだバトルが続いてるんだなあ……。俺、たまにはF1のこととか書きたいんだけど。ヨーロッパGPでの小林可夢偉のこととか! 世間がW杯で盛り上ってる陰ですごいことやってくれたのになー」
え「しっかり書いてるじゃないですか(笑)」
 
家「まあそれはともかく。たいていの議論はそうだけど、今回の東京都青少年健全育成条例改正案も賛成派と反対派の意見がかみ合わないことはなはだしい。俺はもちろん反対派なわけだけど、反対派は反対派で賛成派の論者を嘲笑するようなこと書いてたりで、なんかこう俺はどっちの仲間とも見られたくないのよね。逆撫でしてないでちゃんと議論しろよ! って思っちゃう」
え「でも賛成派はちょっとひどいですよ。『7歳8歳の女の子をみんなで大人が強姦する。そんな漫画が横行してる』ってどこの国の話ですかw 18禁マンガをおおっぴらに陳列してるオタク系書店でもそんなのめったに見かけないですよ」
家「詳しいな」
え「ぎく」
 
家「俺の意見としてはね、本を読んで影響を受ける可能性があるってのは、そんなの当たり前の話で。いい影響を受けることもあれば悪い影響を受けることもあるよ。たとえば『キャプテン翼』読んでサッカー選手目指した子供なんて、何万人っているだろう」
え「海外の選手にもいるみたいですね」
家「でも一握りの人間がなんとかプロになれた陰で、やっぱり何万人って子供が挫折を経験するわけじゃない。で、そのうちの何パーセントかはおそらくそれがきっかけで人生をダメにしちゃうわけじゃない。そう考えたらキャプ翼有害図書だよ」
え「それはひどいw」
家「いや結局さ、どの本からどんな影響を受けてどう昇華するかってのは千差万別で、『これは他人に悪い影響を与える本だ』なんて簡単に決められないってことよ」
 
家「あとー、前から気になってるんだけど。マンガって基本的に日本特有のものだろう。海外にもアメコミとかバンドデシネとかあるけど」
え「多分、市場の大きさからいって日本が最大だと思うんですけど」
家「日本って外国に比べてそんなに性犯罪が多いの? なんか俺のイメージでは海外の方がひどい気がするんだが……。『日本は性犯罪が多い』+『日本はマンガが多い』=『日本はマンガが多いから性犯罪が多い』っていうなら、短絡的だけど一応論理にはなってるじゃない。その辺をすっとばしていきなり規制とか言われてもなあ」
 
 
家「ま、これは結局『禁酒法』と同じなんだよね」
え「禁酒法って、昔アメリカでやってた奴ですか?」
家「うむ。禁酒法が成立した背景には第一次世界大戦があるんだけど。俺の尊敬する高坂正堯先生いわく、『アメリカは正義を建前にかかげて参戦したから、正義の戦争を兵隊さんが酒飲んで戦うなんてもってのほか、ってことで禁酒法が成立した』だそうな」
え「お酒ぐらい認めてあげてくださいw」
家「でもお酒をいいものか悪いものかで判別しようとすると、やっぱり悪になっちゃうわけ。だから参戦が決まって正義正義いってた当時の風潮の中では、誰も表立って反対することができなかったのよ。
 で、結果として政府は税収が減り、マフィアは闇酒で大もうけ、市民は隠れてこっそりお酒を飲むうちに法律なんて守らなくってもいいんだなって思うようになってモラルがガッタガタになっちゃった」
え「なんかもう……今だから笑えますけど」
家「正義にブレーキをかけるのは難しいってことだね。今回の改正案も念頭にあるものは正義だし、NOとはいいにくい条例なんだけど。一度通してしまうと、そのうち『子供だけを対象にすることない』とか『犯罪を誘発するような作品も規制したほうが』とか『犯罪者が主人公の作品は悪影響が』とか言い始めるんだろうなーって思う。だってにんげんだもの
え「なんでそこでみつをなんですかw」