家「Amazonアフィリエイト話なんだけど」
え「いちごうしつのトップページの奴ですね。今は平田オリザ先生の『演劇入門』になってますが」
家「なんと、俺のアオリ文に乗せられて、その『演劇入門』を買ってしまった方がいらっしゃる! それも2人!」
え「買ってしまった、って(笑) いい本なんでしょ?」
家「うん。結構ねー、頭でっかちになってる人にはクスリになる本だと思うよ」
え「頭でっかちって?」
家「あのね、たとえば小説の書き方みたいな本を読むとね、『最初のツカミが肝心 インパクトのあるシーンを』とか書いてあるわけよ」
え「はいはい、よく言いますね。ハリウッド映画とか」
家「ところが、それを読んで誤解する人が続出するわけだよ。一行目から『ドカーーン』とか『バリーーン』とか、そういうシーンから書き始めちゃう。実際に、自分が面白いと思った作品を振り返ってみれば、絶対にそういう始め方はしてないはずなのに、理論に縛られちゃうんだな」
え「それで、『演劇入門』ではどう書いてあるんですか?」
家「『より遠いイメージから始めろ』って書いてある。例として挙げられてるのが美術館のシーンなんだけど、『静かである→デートに向いている→高尚な雰囲気→人がゆっくり歩いてる→絵がある→……』って感じで、観客を舞台に引き込んでいく手法を具体的に説明してるんだな」
え「えー、でもそれって、ちょっと論点がかみ合ってないですよ。『ツカミが肝心』っていうのは、作品全体での話でしょ? 『遠いイメージから』っていうのは、ひとつひとつのシーンの作り方じゃないですか」
家「うむ、そこがポイント。従来の創作論は、全体の構成から考えよう、と言ってきたわけだ。作品のテーマを考え、起承転結を考えて云々って。
 だけど平田先生は、テーマから考えてはならない、と主張している。『テーマを考えてから風景を探す画家はいない。ある風景に出会って、それを描きたいという欲求が画家に絵を描かせる。そして絵を描く過程において、自分の中に内在しているテーマを自ら発見するのだ』と。
 俺もね、『かなえの中学生日記』とか『携帯輪廻』とか描いてきたけど、同じ結論に達したのだよ。テーマを考えてから描いたマンガは、絶対面白くならない」
え「おお! 平田先生と同じ境地に!(笑)」
家「まあ、そういうわけで名著なんですよ。こっちにも載っけておこう(笑)」
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