地球・ふしぎ大自然

 ほとんど毎週欠かさずに観ている番組に、NHKの『地球・ふしぎ大自然』がある。前番組『生きもの地球紀行』も好きだったが、『ふしぎ大自然』になってさらに面白くなった。
 何が面白いって、タイトル通り“不思議”なんである。単に自然を紹介するのではなく、不思議な動物や自然に焦点を絞ることで、極めてエンターテイメント性が高い番組になっている。
 昨日放送された「オナガセアオマイコドリ」(尾長 背青 舞子鳥)も面白かった。雌への求愛のダンスを、雄2羽でコンビを組んで踊るなんて聞いたことがない。しかもそれが師弟関係にあって、弟子が抜け駆けして雌にプロポーズすると師匠からどつかれたりする。人間社会の縮図を見ているかのようだ(笑)。
 ただ、日本の動物番組には一つ、大きな不満がある。それは、人間上位の考えで番組が作られていることだ。
 海外(欧米)の動物番組は、人間と動物が同列である。世界一足が速いチーターや世界一体の大きいシロナガスクジラと同じように、人間は「知能」という点で他の動物より優れているだけで、他の能力では全然敵わない。だから、動物たちにも敬意を払わなければならない。そういう姿勢で番組が作られている。
 それに対し日本の番組では、何かと動物の行動を人間の行動にたとえようとする。これはつまり「動物にも人間と同じような部分があるんだから、見下しちゃいけないよ」という、人間を基準にして自然を捉えようとする考えが働いている。前述したオナガセアオマイコドリにしても、やっぱり彼らを人間的に捉えて放送している(これはこれで面白いんだけどね)。
 この差違は、異文化との接触の経験が多いか少ないか、によって生じているのだと思う。動物たちの世界は、結局人間には理解しがたい異文化である。欧米圏では、日常生活でも異文化に接する機会が多いため、「異文化を異文化として受け入れる」姿勢ができているのではないか。それに対し、日本では異文化とのつきあいが少ない。そのため、いったん自分たちの文化に置き換えるフィルターを通すことで、異文化を理解しようとする。昨今の日本人の対韓感情を見ると、その辺が顕著に現れているように思う。
 ある意味、日本人は世界一傲慢な民族である。