料理職人

 アマチュアのマンガ描きなら気にしないでいいのだが、プロを目指すとなると考えなければならないことがある。それは、自分が何職人なのか、ということだ。マンガの新人賞などでは、よく「自分の売りをみせろ!」などとアオリが入っているが、まあ同じことである。
 マンガは料理に例えることができる。熱血マンガなら焼き肉だし、萌えマンガならケーキやパフェだろう。四コマは……漬け物やおみそ汁、といったところか。「メインディッシュにはなれないけど、無いと困る」……そんな位置付けである。
 そして、雑誌はそれらを組み合わせたコース料理である。熱血格闘マンガばかりの雑誌はない。それは焼き肉料理を延々と読者に食わせるようなものだ。絶対、胃を壊す。
 また、萌えマンガばかり集めた雑誌……は存在しているが、これも「コース料理」というにはきついだろう。ケーキ食べ放題みたいなもんである。だからオタクは太ってるのか? いや俺もだけどさ。←80kg突破
 何が言いたいかというと、マンガ家は各料理を担当する職人であり、コースに仕立てるのは編集部、ということである。だから、マンガを持ち込むときには自分が何職人か見極め、その上でその席に欠員が生じている雑誌を探さねばならない。「俺、焼き肉料理が得意なんです!」と持ち込んでも、既にベテランの職人がその座を占めていたら、勝ち目はない。大手の雑誌なら、次の世代の焼き肉職人を育てるためにあえて仕事をさせることもあるだろうが……。