「ん? …ちょっと待って。バカね、あたしってば。無人島だったらこんな、KEEP OUTなんてテープが張ってあるわけないじゃない。『立ち入り禁止』だなんて」
「やっと気づいたか」
「つまりこの島は本当は無人島じゃなくて、誰かが住んでいるのよ」
「うんうん」
「あれね、原住民ね! 未開の原住民が、よそ者のあたしたちに警告してるんだわ! これ以上島に立ち入ると大いなる災いが訪れるとかそういう」
「……」


無人島に流れ着いて、はや三日か…早く助けが来てくれれば…おいミキ、なんだその格好」
「や、やだ、あんまり見ないでよ。この格好、恥ずかしいんだから」
「いやだけどそれ」
「わかってるわよ! でも魚を獲ってたら、服が濡れちゃったんだもの! 濡れたままだと風邪ひいちゃうでしょ!?」
「どこで見つけたんだ、その『KEEP OUT』のテープ」
「木の間に張ってあったわよ?」
「……」
「ああ、早く飛行機か船が通りかからないかしら…」
「(本当に無人島ならKEEP OUTのテープが張ってあるわけないんだが…面白いから黙ってよう)」


「看護婦さん。三国志を知っているかね?」
「はあ? 三国志って、曹操とか劉備とかの、あれですか?」
三国志演義には、ケガをした関羽が、痛みを感じないくらい囲碁に集中しながら手術を受けたという話があるんだ。つまり、麻酔を打たなくとも何かに集中していれば麻酔の代わりになるわけだ」
「麻酔の代わりになるっていうのは大げさだと思いますが、たしかに楽しいことに集中すると他のことが気にならなくなるっていうのはありますね」
「そこで当院としては、麻酔の代わりに、施術中、看護婦さんがフェラをすることで痛みを感じなくさせるサービスを取り入れようと思うのだが」
「辞めていいですか」